東北福祉大学との取り組み複合的カラオケプログラムの導入における効用に関する調査研究


 東北福祉大学の共同研究にて開発された【 複合的カラオケプログラム 】を用いて、『 デイサービス利用者に対する認知症予防に向けた音楽等の複合的プログラムの効用に関する研究 』を行いました。

複合的カラオケプログラムを実際に使用してみると、利用者みなさんで『歌ったり』『歌と共に運動したり』『回想的映像を懐かしんだり』と、参加回数を重ねる中でこのプログラムを心待ちにしたり、自宅に帰られてからも歌を口ずさんだりと利用者さんが楽しんでくれたことが何より一番でした。


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これからもデイサービスでは、利用者さんが楽しみながら続けられるリハビリを継続して取り組んで行きます。



≪ カラオケプログラムの様子 ≫


学会抄録複合的カラオケプログラムの導入の試み


菊地ナナ※1 佐藤善久※2 伊藤明海※2 藤田貴昭※2 
※1特別養護老人ホーム優雅 Nursing Care Homes Yuga ※2東北福祉大学 Tohoku Fukushi University   

はじめに


 認知症高齢者に対する音楽や作業による介入の試みの報告が散見されるが、その多くは効果がプログラムを行うリーダーの技量の影響を受けること、効果指標が認知機能などの機能指標と表情や情緒的変化、興奮性などの症状を用いており、行動変容につながる報告は少ない。今回、通所サービスを利用する高齢者に対し、複合的カラオケプログラムを導入し、介入前後の変化並びに介入時の対象者の行動変化を検討したのでプログラムと共にここに報告する。なお、本研究は大学との共同研究事業として実施しており、同大学の倫理審査委員会の承認を受けて実施した。

対 象


 実施曜日を2日間特定し、その日に通所サービスを利用する高齢者18名より認知機能の低下から日常生活に支障のある方を対象に本人またはご家族に本研究の趣旨説明を行い、同意の得られた17名を調査し、継続的参加と介入前のデータを収集でできた15名を分析対象とした。

方 法


 複合的プログラムは、同大学が介護予防や健康増進のために作成し、通信カラオケ上にアップロードしているモニター利用型のプログラムより季節感・馴染みなどを考慮して楽曲を選択し、歌うこと、歌と共に運動すること、回想的映像を懐かしむことを柱とした4種類のプログラムを5セッション(各30?40分、計20回)実施した。
 介入前後の効果指標として、MMSE、高齢者用行動評価表、単純反応時間、SF-8、二次元気分尺度など調査し、プログラム前後の変化を比較するとともに、介入期間中に参加者の反応をビデオ映像で記録し、感想や生活への影響は個別インタビューにより情報を得た。

結 果


 参加者17名のうち、2名が施設登録から外れたが、プログラムの参加率は高かった(平均74%)。介入前後の変化は、MMSE、高齢者行動評価尺度、単純反応時間で有意な変化はなかったが、SF-8の身体的サマリースコアに有意な違いがみられ、プログラムへの参加は回数を重ねる中で、参加を心待ちにしたり、他の利用者を気遣う反応や発言が聞かれた。
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事例Aさん


 84歳、入院後の下肢筋力低下より通所サービスを利用。以前、小学校教諭をしており、唱歌などを楽しみ、帰宅後は記憶を整理しながらセッションの内容を書きお越し、知人にセッションの内容を伝えていた。また自宅での運動時に歌を口ずさみながら行うことが習慣となり、タオルを使った体操後は、施設で利用するタオルを丁寧にたたむようになるなど行動の変化が見られた。

考 察


 認知症高齢者への音楽を用いた先行研究では介入頻度が少なく、その効果を認知機能や情動的変化に置くものが多く、行動変容を言及するものは少ない。今回は約3か月間(20回)の介入の中で対象者の日常生活に具体的な変化を生みプログラムへの馴染みや情緒的な期待の高まりを生じさせた可能性があった。また、セッションのリーダーは固定せずに行ったが、モニター利用により各セッションでのリーダーの影響はあまり受けず、参加することができていた。特に回想プログラムはリーダーのナレーションの影響を受け易いが、今回はモニター映像とナレーションをカード化し一定の解説ができるようにしたことでリーダーの技量による反応の影響は小さかったと考えられる。今回の結果を受け今後は年単位での介入による行動や地域生活への影響を含む介入の効果の検討を加えていきたい。
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